「人は石垣 人は城 なさけは味方 仇は敵なり」
武田信玄の歌とも後世の創作とも言われております。
さて吉本興業所属の田村淳氏が安室奈美恵氏との交際を発表したとのこと。
いや、別にだからどうしたってことはないんですが、うらやましいとか悔しいとか「なんであいつやねん」とかも思ってないんですが・・・、
吉本興業東京本部に約10台のテレビカメラと約80名の報道陣が集結したとのこと。
昨夜の夜だそうです。
これってそんなに大ニュースなんですかね。
やはり知りたいと思ってるファンも多いってことでしょうか。
こういう事実をみると芸能関係の会社の富の源泉はやはり「人」なんだなぁとつくづく思います。
コンテンツを生み出すのも結局はタレントの才能が源泉です。
(ちなみにタレントって才能って意味でもあります。さらにもともとは重量の単位を意味するタラントって言葉からだそうです。金や銀の重量をはかる意味から貨幣の単位としても使われた。貨幣の単位が才能の意味に使われるようになったのは「才能に応じてタラント(金)を分け与える」っていう「マタイ伝」の記述からだそうです。タレント(才能)=金なんですね)
もちろん芸人さんだけではなく、マネージャ、営業、経理、総務等のスタッフのノウハウと努力なしには成立しないのは言うまでもありません。
10年ほど前に、ある有名な外資系投資信託のファンドマネージャーさんの話を聞く機会がありました。その方は吉本興業株を薦めておられました。「これほどのプロ集団を抱えている企業は世界にも類をみない。商品がタレントでありそこから派生するコンテンツなので可能性はいくらでもあるよ」との事でした。
実際に800人もの芸人を抱え、また急に売れだして会社に莫大な利益をもたらす可能性がどのタレントにもある。
昨年末「M―1グランプリ」を見てテレビの前で笑わせてもらいましたが、新しい才能が次々に生まれている。
可能性をいくつも秘めた会社ではあります。
もちろんタレントを売る仕掛けを企画している経営陣やスタッフにも株主として頭が下がる思いです。
考えたら特殊な会社なんですね。一般の商品ではないですから、売り方も企画も管理も全て特殊です。
つまりスタッフもその道のプロ集団であると言えます。
ですから、この会社を乗っ取るのは非常に難しいといえます。人が横を向けばその時点で立ちいかなくなります。
何故ならば利益の源泉はタレントを始めプロのスタッフの人的パワーが全てですから。
ちなみに800人のタレントは吉本興業に所属しているわけではありません。
子会社の「よしもとクリエイティブエージェンシー」の所属です。
これは資本金が1000万円の会社です。
つまり吉本興業の真の資産は、この資本金1000万円の会社にあると言えます。
ですから吉本興業はその富の源泉のタレントを一夜にして外部に移すことは可能です。
「よしもとクリエイティブエージェンシー」を外部に売却すれば事足ります。タレントの引き抜きより簡単で金もかからない。
もし敵対的買収を仕掛けられたらこの会社を友好企業に受けてもらえば良い。あとはもぬけの殻が残るだけです。そのアナウンスをするだけで敵対的な買収をしようという企業はなくなります。
これって究極の買収防衛策のような気がします。
ですから今回の上場廃止の理由として「敵対的買収の可能性があるから」というのもどうなのかな?って気がします。
例えばあるファンドが買収を仕掛けたとする。会社の価値を上げるために大幅なリストラを振るう。社員が嫌がって流出しだしてもアウトです。社員の個性とノウハウが資産だからです。簡単に変わりの人材は集まらない。
ですから待遇面でも考慮しないといけない。脅しで管理を強化するって手もありますが、結局会社のためにはならないでしょう。
これは経営陣の待遇だけを優遇するって意味ではなく、社員全体になさけをかけるって意味です。
冒頭の歌の後半ですが「なさけは(会社の)味方、仇は(会社の)敵なり」ってうまい事を言ってます。
上場廃止されればコーポレートガバナンスは間違いなく低下するでしょう。
社員の皆さんの待遇ってどうなるんでしょうか?
私が心配するのも筋違いなんですが、株主として仇(あだ)を受けたような気がしてる私としては社員さんも仇を受けたりせえへんかいな?と変に気になったりします。
もっともこちらも人の心配をしている場合ではないのですが。
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