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吉本興業に疑問をもつ管理人のブログ

吉本興業のTOBによる上場廃止に疑問を持つ株主の独り言。

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88.52%という数字


10月31日

「サンヘドリンというのはイエス時代のユダヤの国会兼最高裁判所のようなもので、七十人で構成されていた。

当時の法律は、いわばモーセ以来の律法が厳として存在し、問題はその解釈と適用だったから、厳密な意味では立法権はないが、新解釈には「立法」といえる面もあった。
またこの解釈と判例に基づいて判決を下したのだから最高裁判所でもあった。
イエスに死刑の判決を下したのはこのサンヘドリンである。
この判決に(新約聖書の記述が歴史的事実なら)少々問題がある。
いや少々どころではない。実に大きな誤判をやっているのである。
というのは、サンヘドリンには明確な規定があった。
すなわち「全員一致の議決(もしくは判決)は無効とする」と。
とすると、新約聖書の記イエスヘの死刑の判決は全員一致だったと記されているから、当然、無効である。
この場合どう処置するかには二説あって、一つは「全員一致」は偏見に基づくのだから免訴、もう一つは興奮によるのだから一昼夜おいてから再審すべし、としている。」
イザヤ・ペンダサン:「ユダヤ人と日本人」
 
 
吉本興業のTOBが成立しました。
応募は全体の88.52%とのこと。
成立するとは思っていましたがこの応募率は以外でした。(寡聞にて他の例をしらないのですが)
約9割近い株主が応募した。
これほど多いとは予想外でした。
 
引かれ者の小唄になりますが、
「TOBの強圧性」という概念があります。
まずTOBに応じるか応じないか投資家はどういう判断をするかを考えると、
 
A:TOB終了後にはもうその価格より高く売れるチャンスはないと考え応じる。
B:買収者とのシナジー効果で企業価値があがり値上がりするかもしれないと考え保有。
C:期待はあるが、高い値段での売却チャンスはないと考え不本意ながら応じる。
 
通常買収する側にとっては買収価格以上に企業価値があがると考え買収するのであり、そのシナリオを株主が信じなければ売却、つまりAの行動をとり、そのシナリオにただ乗りして利益を目指そうと思うならBの戦略をとる。
 
問題はCの場合です。
価格に不満があってもTOB後の流動性の低下やスクイズアウト(強制買取)の価格に不透明があればいやいやながらTOBに応じるという場合がある。
これを「TOBの強圧性」といっても差し支え無いと思います。
さらに強圧性がさらに高まるのは今回のような2段階買収でTOBをおこなう場合です。
最初の条件を有利に設定し、2段階目の買付条件を不利(または不明確)に設定して売り急がせることは株主の合理的判断を誤らせる可能性が高いと考えられます。
 
さて今回の場合、買付条件を不利、または不明確にしているかどうかというと、
吉本興業は株主に配布した賛同意見で
 
「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
当社は、公開買付者らより、本公開買付け後の組織再編等の方針につき、以下の説明を受けております。
本公開買付けが成立した場合、公開買付者は、所有割合の70%以上の株式を取得することになりますが、本公開買付けで当社の自己株式を除いた全株式を取得できなかった場合には、公開買付者は、上記(2)「② 本公開買付けの概要等」に記載のとおり、当社を公開買付者の完全子会社とする方針であり、本公開買付け終了後に、本取引の一環として、当社を公開買付者の完全子会社化するための方法を実施する予定です。
具体的には、本公開買付けが成立した後に、公開買付者は、①当社において普通株式とは別の種類の株式を発行できる旨の定款変更を行うことにより、当社を会社法(平成17 年法律第86 号。その後の改正を含みます。以下同じ。)の規定する種類株式発行会社とすること、②当社の発行する全ての普通株式に全部取得条項(会社法第108 条第1項第7号に規定する事項についての定めをいいます。以下同じ。)を付す旨の定款変更を行うこと、及び③当社の当該株式の全部(自己株式を除きます。)の取得と引き換えに別個の種類の当社株式を交付することのそれぞれを付議議案に含む当社の株主総会の開催を当社に要請する予定です。
また、上記株主総会にて上記①のご承認をいただきますと、当社は会社法の規定する種類株式発行会社となりますが、上記②については、会社法第111 条第2項第1号に基づき、上記株主総会の決議に加えて、株式の内容として全部取得条項が付される当社の普通株式を保有する株主の皆様を構成員とする種類株主総会の決議が必要となるため、公開買付者は、当社に対し、上記②の定款一部変更を付議議案に含む当社の普通株主による種類株主総会の開催を要請する予定です。
本公開買付けが成立した場合、公開買付者は、当社の自己株式を除いた発行済株式総数の70%以上の株式を取得することになる予定であり、上記の各手続を採用することが決定された場合、公開買付者は、上記の株主総会及び種類株主総会において上記各議案に賛成する予定です。
上記の各手続が実行された場合には、当社の発行する全ての普通株式は全部取得条項が付された上で、その全て(自己株式を除きます。)が当社に取得されることとなり、当社の株主には当該取得の対価として当社の別個の種類の株式が交付されることになりますが、当社の株主のうち交付されるべき当該別個の種類の当社株式の数が1株に満たない端数となる株主に対しては、会社法第234 条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に端数がある場合には当該端数は切り捨てられます。)に相当する当該別個の種類の当社株式を売却すること等によって得られる金銭が交付されることになります。なお、当該端数の合計数に相当する当該別個の種類の当社株式の売却価格については、当該売却の結果、各株主に交付されることになる金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が保有していた当社の普通株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定です。また、全部取得条項が付された当社の普通株式の取得の対価として交付する当社株式の種類及び数は、本報告書提出日現在未定でありますが、公開買付者が当社の自己株式を除く発行済株式の全てを保有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主に対し交付しなければならない当社株式の数が1株に満たない端数となるよう決定することを要請する予定であります。なお、公開買付者は、原則として、平成22 年6月30 日を目処に、当社を公開買付者の完全子会社とするための施策を完了させることを予定しております。
上記各手続に関連する少数株主の権利保護を目的としたと考えられる会社法上の規定としては、(a)上記②の普通株式に全部取得条項を付す旨の定款変更を行うに際しては、会社法第116 条及び第117 条その他の関係法令の定めに従って、株主はその有する株式の買取請求を行うことができる旨が定められており、また、(b)上記③の全部取得条項が付された株式の全部取得が株主総会において決議された場合には、会社法第172 条その他の関係法令の定めに従って、株主は当該株式の取得の価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められております。
公開買付者は、上記の各手続の実行後に、本件合併を行うことを予定しております。
なお、本公開買付けは、上記株主総会における当社の株主の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、上記方法については、関係法令についての当局の解釈等の状況、本公開買付け後の公開買付者の株券等所有割合又は公開買付者以外の当社株主の当社の株式の所有状況その他の状況等によっては、それと同等の効果を有する他の方法を実施し、また実施に時間を要する可能性があります。ただし、その場合でも、公開買付者以外の当社の株主に対しては、最終的に金銭を交付する方法により、当社を完全子会社化することを予定しており、この場合に当該当社の株主に交付される金銭の額についても、本公開買付価格に当該各株主が保有していた当社の普通株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定される予定です。」
 
TOB応募者と同一価格で買い取る予定であることを明確に記述されております。
されておりますが、この文章を読んだ人、意味を正確に理解した人ってどれくらいの割合なんでしょうか?
原告の私にしてもはなはだ自信ない。
「お前はアホか?」との批判はあえてうけます。
もっとも、私は保険の説明書なんかも面倒でQ&Aしか読まないタイプなんですが。
 
しかし、これ以外に書きようもなく、きちんと説明しようとすればこういう難解な文章にならざるを得ないと言うのも理解できます。
 
でもですね、これは吉本興業に限らずなんですが、もう少しわかりやすく書くわけにはいかないんでしょうかね?
 
送られてきた資料の中にはTOBに応じなかった場合についての文章はこの部分しかなかったように思います。

追加で送られてきた資料には上場廃止予定の説明はありました。

応じない場合の説明もきちんとするのが親切というもんでは?。
またみなし配当税の問題も不明です。
 
いままでの報道をみていくと、「上場廃止へ」との記事が多かったように思います。
流動性の低下の不安が株主にTOB応募への圧力をかけたということでしょうか。
 
今回TOBに応募された、または市場で売却された方(このときの買い手はTOB応募でのサヤ取りの投資家が多い)の考えとしては、
1)利益が出ているので喜んで~。
2)損は出ているがどこかで売却しようと思っていたのでこの値段なら納得。
3)手放すつもりはなかったが、上場廃止になるとのこと応募しなければこの先どうなるのかわからないのでしかたなく。
4)現金になるのが遅くなるしその時の価格もわからないのであきらめた。
5)もう愛想がつきました。
6)証券会社の営業マンにどうなるかわからないから市場で売ったほうが良いですよと薦められた。(実際はどうか知れませんが、証券マンにはこういう心理的圧力がかかります。なぜなら預かり資産が減るからです)
 
 
さて冒頭のイザヤ・ペンダサン(山本七平)の文章ですが(色々批判がある文章ですが)
「全員一致は偏見または興奮によるものである」との部分だけとらえると、
 
私にとって今回の応募率88.52%という高い数字は、株主が経営陣を支持した結果では決してなく、
偏見または興奮または強圧によるものだったと考えています。
 
※参考文献
東京地裁平成19年6月28日の判決
今回と事情は違いますが買収にさらされていたブルドッグソースの対抗策の差し止め請求の判決文を一部抜粋しておきます。
「前略~
公開買付けの制度は、投資者の保護の観点から必要な規制を行うものであって、
公開買付者に株式の買収について優先的な地位を保障しようとするものではないから、
公開買付けに応ずるか否かという形での株主の選択権行使の機会とは別に、株主総会における議決権の行使という形での株主の選択権行使の機会を設けることが、証券取引法の趣旨に反するということはできない。株主に自由な選択権行使の機会を保障するという観点からみても、公開買付けに応じなければ上場廃止により売却の機会を喪失するというおそれから、経営陣を支持しつつも、公開買付けにやむを得ず応じる株主も存在すると考えられるのであり、公開買付に応ずるか否かという形での選択権行使の機会を認めれば足りるということはできない。
 そうであれば、特定の買収者が公開買付制度に基づき買収手続きを進めている場合においても、株主総会としては、当該買収者による経営支配権の取得が企業価値を損なうおそれがあると判断する場合には、株主全体の利益保護の観点からも相当な対抗手段をとることが許容されるというべきである
~後略」
下線部は管理人
 
 
これもまた難解な文章です・・・

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コメント

通常は応じる以外に無いが

吉本のTOBは強圧的です。
単にTOBに応じないことで大きな不利益は生じないに過ぎず、何もせず持ち続けた場合、優先株に変更後1株未満の株式にされた後TOB価格と同額で売られてしまうわけです。すなわち、早期に換金したほうが他の投資機会を追うことが出来るため、結果として応募したほうが有利だという事になります。この微妙な強圧性も、持ち続けた場合にも何らのメリットが生じないデメリットが大きいため投資家にとっては非常に強圧的なのです。

本来であれば、公正な価格を裁判所に確実に定めてもらうためには優先株を用いた複雑な手法をとるべきでなく、会社法第百九十二条を用いたスクイーズアウトをすべきです。簡単なことで、一旦株式を100分の一や1000分の一に併合し(単元株式を千株単位にして)、株主の請求があった場合に裁判所に公正な価格の決定を会社側からも申し立てるスキームに変更すべきです。

こうすることで公正な価格が決まり、そこからさらに株式併合を行い、1株未満株式として裁判所の許可で公正な価格に基づいた売却を行えば、非常に公正です。
【2009/11/01 19:56】 NAME[山田] WEBLINK[] EDIT[〼]

無題

勉強になります。
株式併合は特別決議が必要なんですよね。
つまり株主のある程度の同意を得てのスキームなら仕方ないかなとの気もしますが、
このような強圧的TOBの結果をもって株主の同意を得たとは到底いえないのではないかと思います。
と、よく考えたら吉本の場合、MBOではなく第三者による買収でした。
今回は、上場廃止を目的とした経営陣がスポンサーを探してきて買収させる(?)特殊な例のような気がしますが、これが通るなら株主の経営参加権って何でしょう?
やはり・・・ずるい。
【2009/11/02 12:02】 NAME[管理人] WEBLINK[] EDIT[〼]

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